こんにちは、エフ編集部です。
このコーナーでは毎月、ECのあらゆる事象についての考察をお送りしています。
さて、さっそくですが今月のテーマは「ECはリアルの売上を補完できる存在になっていくのか」をお送りしたいと思います。
コロナによって世界中のあらゆるビジネスが急速にオンライン化してきました。実に急速に。
特に米国のEコマースは、この数カ月だけで10年分のEC化が進んだという試算も出ているほどです。これには驚きですよね。今まさに歴史の転換点に私たちは立ち会っているのかもしれません。
家電・洋服・食品・雑貨・インテリア、各ジャンルごとにEC化率は異なりますが、コロナによって訪れた新しい生活様式に合わせまいと、変革が進んでいるのは間違いありません。
今回の結論を先に申し上げておきますと、「ECとリアルを分けて語るのはもう時代遅れだ」ということです。
「すかいらーく」がECに進出
レストランチェーン大手の「すかいらーく」が8月13日に発表した2020年1~6月期(中間期)連結業績によると、
売上高に当たる売上収益は前年同期比25.8%減の1390億6600万円、
最終損益は189億円の赤字(前年同期は53億円の黒字)となっています。
これに伴い、年内には楽天とAmazonに出店、さらに2021年には自社サイトをオープンさせると発表しました。
外食の自粛により、ファミリーレストランなどの売上が軒並み下がる中、全国に張り巡らされたセントラルキッチンの設備などを活かして「すかいらーく」は収益構造の改革に打って出た形です。
GUはコロナで売上が4倍に?
さらに「ダイヤモンドONLINE」の記事によれば、GUはコロナ後の売上が4倍になったとあります。
「GUがコロナ禍でも「EC売り上げ約4倍」の成果を上げられた理由」←記事はこちら
さて、この記事を読み進んでいると、タイトルとは少し違った印象を受ける箇所があります。
「売上が4倍になった」
と書かれているのには実は続きがあって、
「商品によっては」
という文言がタイトルには抜けています。
つまり、コロナ前後でGUの売上が純粋に4倍になっているわけではありません。
外出自粛が続く世の中ですから、ファッションアイテムが飛ぶように売れるとは到底考えられません。
ではこの記事に書かれていることは何かと言うと、
「コロナ後の生活様式に合わせた提案をしたところ、売上が4倍になった商品がある」
ということなんです。
リアル店舗に足を運べなくなった分、オンライン上やSNS上で顧客との接点を格段に増やし、GUの服を認知→認知継続してもらう
それによってECでの購入が促進されたという内容になっています。
リアルがダメならオンラインで接点を持ちましょうよ、は当然の流れです。
ファッション大手のベイクルーズは「デジタルストア」を目指していく
さらに興味深い記事として「ベイクルーズのEC売上高は29%増の510億円、自社ECは37%増の391億円で構成比は約77%【2020年8月期実績】」というものがあります。
IENAやEDIFICE、Journal Standardを運営するベイクルーズの自社ECが好調で、
EC用の在庫とそれ以外の在庫を1つの倉庫に集約したり、EC専門の組織作りを行ってきた結果、EC売上高が29%増というニュースになっています。
この中でも取り上げられているのですが、ベイクルーズは「デジタルストア」の実現や、「デジタル接客」の強化を今後のビジョンとして掲げています。
「デジタルストア」って何?と思われた方もいるかもしれません。
オンラインとオフライン双方の体験価値を融合したお店のことを「デジタルストア」と呼びます。
たとえば、ネットで気になった商品が実際に置いてある店舗をすぐに確認できたり、逆にリアル店舗で気になった商品のコーディネートをオンラインで見返せたり、そんなシームレスな体験が実現できれば、購買までに至る様々なステップでお客様に寄り添う接客が可能になるかもしれません。
実店舗だけでの営業はもはや限界か
というわけで様々な事例を通して、コロナ禍におけるECとリアルの融合について語らせていただきました。
実店舗の売上が減少した分をネットで巻き返す、いわばEC倍返し戦法?!の考えはもう古いことがお分かりいただけたかと思います。
これからはネットとリアルでお互いに補完し合いながら、より魅力的な店舗設計を目指していくことが求められます。
これからも面白い事例を探してご紹介していきたいと思います。
それでは次回もお楽しみに!